渋沢駅1分
消化器内科・乳腺外科・外科・肛門外科・内科
医療コラム
乳がん検診について
2025.03.12
- ブレスト・アウェアネスとは?
ブレスト・アウェアネスとは、自分の乳房の状態に日頃から関心を持ち、乳房を意識して生活することを指します。乳がんの早期発見・診断・治療につながる重要な習慣です。
ブレスト・アウェアネスのポイント
- 乳房の状態を知る(見て、触れて、感じるセルフチェック)
- 注意すべき乳房の変化を知る(しこりや血性の乳頭分泌など)
- 変化を感じたら、すぐに医療機関を受診する
- 40歳になったら定期的に乳がん検診を受診する
入浴時や着替えの際にセルフチェックを習慣づけましょう。セルフチェックは大切ですが、検診の代わりにはなりません。40歳以降は定期的な検診も受けることが重要です。
- 乳がん検診のメリットとデメリット
乳がん検診の目的は乳がんによる死亡率を減少させることです。現在、死亡率減少効果が確認されている検査方法は50歳以上の女性のマンモグラフィです。
メリット(利益)
- 乳がんの早期発見が可能
- 早期治療により治療効果が向上
デメリット(不利益)
- 偽陰性(乳がんがあっても検出されない)
- 偽陽性(乳がんではないのに精密検査が必要と判定される)
- 過剰診断(成長の遅いがんも検出され、不要な治療を受ける可能性がある)
検診は利益が不利益を上回ると判断されているため、住民検診(対策型乳がん検診)として提供されています。
- 乳がん検診の種類
乳がん検診は**対策型乳がん検診(住民検診)と任意型乳がん検診(人間ドック・職域検診など)**に分けられます。
検診の種類 | 目的 | 対象 | 費用 | 判断基準 |
対策型乳がん検診(住民検診) | 国民全体の死亡リスクを下げる | 40歳以上の女性 | 一部自己負担あり | 国全体の利益が不利益を上回るか |
任意型乳がん検診(人間ドック等) | 個人の健康管理 | 乳がん検診を希望する女性 | 自費または職場負担 | 個人の判断 |
- 乳がん診断の流れ
1)問診
- 月経・出産・授乳の経験、家族歴などを確認
- しこりや乳房の変化の有無を問診
2)視触診
- 乳房の変形や乳頭分泌物の有無を確認
- しこりの大きさ・硬さ・動きやすさを評価
3)マンモグラフィ(X線撮影)
- 乳房を圧迫しながら撮影(痛みを伴う場合あり)
- 乳がんの兆候(腫瘤や石灰化)を確認
4)超音波検査(エコー検査)
- 乳腺密度が高い人でもしこりを確認しやすい
- マンモグラフィと併用して精度を向上
5)その他の画像診断
- MRI検査:乳がんの広がりを確認
- CT・骨シンチグラフィ:進行がんの評価
- 乳がん生検(組織診)
1)穿刺吸引細胞診
- 細い針を用いて細胞を採取
- 短時間ででき、身体への負担が少ない
2)針生検(組織診)
- 太い針を用いて組織を採取(局所麻酔あり)
- より詳しい診断が可能
3)外科的生検
- 小さな手術で組織を採取
- 他の方法で診断がつかない場合に実施
- 乳がん検診の重要性
日本では、40歳以上の女性にマンモグラフィ検診が推奨されています。検診の目的は、乳がんの早期発見・治療により死亡率を低下させることです。
- ブレスト・アウェアネスを心がけ、日頃から乳房の状態をチェック
- 定期的な検診を受け、異常があれば速やかに受診する
- マンモグラフィや超音波検査を適切に活用する
乳がんは、早期発見・早期治療が鍵となる病気です。乳房の変化を見逃さず、定期的な検診を受けることで、健康を守りましょう。