肛門診察、手術
Proctoscopic examination
肛門診察、手術について
当院では、一般診療の一環として自然に行える肛門診療を心がけています。
「肛門科」と聞くと、恥ずかしさや不安を感じる方も多いですが、
当院では一般診療と同じ診察室・検査室の環境で、プライバシーに配慮した診察を行っています。
診察中は、専用カーテン・ベッド配置・姿勢誘導などにも十分な配慮をし、
患者さまが安心して検査・治療を受けられるよう努めています。
診察の流れ
肛門疾患の診察は、次のような手順で進めます。
① 受付
受付で保険証の確認と問診票のご記入をお願いします。症状のある部位や出血・痛みの程度などを伺います。
② 診察番号でお呼び出し
お名前ではなく診察番号でお呼び出しします。プライバシーに配慮したご案内です。
③ 一般診療と同じ診察室で問診・視診
肛門疾患も、消化器疾患や便秘外来と同様の診察スペースで行います。気兼ねなくご相談ください。
④ 肛門診察・内診・超音波検査(側臥位)
検査ベッドで“横向き(左側臥位)”の姿勢をとっていただき、医師が丁寧に診察を行います。痛みを最小限に抑えた方法で、必要に応じて以下の検査を組み合わせます。
⑤ 結果説明と治療提案
診察後は衣服を整えたうえで、検査結果や写真をもとに状態をわかりやすく説明し、治療法をご提案します。
検査について
肛門鏡検査
肛門のすぐ内側を観察する検査で、痔核・裂肛・炎症の有無を確認します。短時間で終わり、痛みはほとんどありません。
直腸鏡検査
直腸の粘膜を直接観察できるスコープを用いて、出血・ポリープ・腫瘍などの異常を調べます。必要に応じて組織検査を行います。
肛門超音波検査(経肛門エコー)
超音波で肛門括約筋や周囲の炎症・膿瘍の有無を確認します。特に痔瘻(ろう管)の走行を把握するのに有効で、手術計画にも役立ちます。
大腸内視鏡検査(必要時)
出血や便通異常の背景に大腸疾患が疑われる場合、全大腸を観察します。腫瘍・ポリープ・炎症性腸疾患などを除外する目的で行います。
手術治療について
症状や重症度によっては、保存的治療(薬・軟膏・生活指導)で改善が難しい場合、
日帰りまたは短期入院による手術治療を行うことがあります。
当院では、松島病院などの専門施設と連携し、より安全で再発の少ない治療法を選択しています。
【1】痔核(いぼ痔)
出血や脱出を繰り返す痔核には、症状と重症度に応じて手術を行います。
・結紮切除術:腫れた痔核を切除し、吸収糸で縫い合わせる標準的手術です。再発率が低く、確実な根治を目指せます。
・ALTA(ジオン®)注射療法:脱出や出血を抑える注射療法で、痛みや出血が少なく日帰り治療が可能です。
・状態に応じて、痔核切除+注射併用も行い、より確実な改善を図ります。
治癒までの期間は約1〜2か月ですが、日常生活には数日で復帰可能です。
【2】痔瘻(あな痔)
痔瘻は、肛門内部の感染が原因で膿がたまり、トンネル状の「瘻管」ができた状態です。
自然治癒は難しく、手術が唯一の根治治療です。
代表的な術式:
・瘻管開放術:浅い痔瘻に対して行う標準的手術。感染部を開放し再発を防ぎます。
・括約筋温存術:筋肉を温存しながら瘻管を処理する方法。肛門機能を保つことを重視します。
・Seton(シートン)法:瘻管にゴム糸をかけ、徐々に切開して治癒させる方法。外来通院で行えます。
術後は1〜2か月で創部が治癒し、通常生活に復帰できます。
【3】裂肛(切れ痔)
裂肛は、肛門の粘膜や皮膚に小さな傷ができる病気で、排便時の強い痛みと出血を伴います。
慢性化した場合や肛門狭窄を伴う場合は手術が必要です。
主な術式:
・用手的肛門拡張術:肛門の緊張を緩め、排便をスムーズにします。
・側方内括約筋切開術:緊張した括約筋を一部切開し、痛みと再発を防ぎます。
・裂肛切除・肛門形成術:慢性潰瘍や見張りイボを切除し、肛門の形を整えます。
術後は1〜2か月で治癒し、再発を防ぐために排便コントロールを続けます。
当院の特徴
一般診療の延長で受けられる肛門診療
肛門科専門外来に抵抗のある方も、内科・消化器外来と同じ流れで受診できます。
プライバシーを重視した診察空間
専用カーテン・姿勢誘導で、羞恥心に配慮した環境を整えています。
女性の方も安心
女性スタッフが対応します。お気軽にご相談ください。
保存治療から手術まで一貫対応
軽症例は薬物・生活療法を中心に、重症例は専門的手術まで幅広く対応しています。
術後ケアと再発予防を重視
手術後の生活指導・排便指導を徹底し、快適な排便習慣の回復を目指します。